HOW DO YOU CHOOSE?

木材の選び方

どんな木材がいいの?

大切な家に長年にわたって安心して安全に住み続けるためには、どのような木材を選べばよいのでしょうか。
考え方によって様々な答えがあると思いますが、長く家に住み続けるには、何よりも家自体を支える構造材が長持ちしなければいけません。北海道を除くほとんどの地域が高温多湿であり、万が一水分によって木材が腐るようなことがあってはいけないし、日本のほぼ全ての地域にシロアリが生息している以上、できるだけシロアリの食害に強い木材を選ぶことが重要ではないでしょうか。

上の写真は、5種類の木材の違いによってヤマトシロアリの被害がどのように異なるかを実験したものです。
【写真:シロアリ食害実験1】

上の写真は、5種類の木材の違いによってヤマトシロアリの被害がどのように異なるかを実験したものです。【写真:シロアリ食害実験1】桧と米ヒバはほとんど無傷、杉や米栂も多少食害を受けていますが、最も食害が顕著なのが、一番左のホワイトウッド(欧州のトウヒ・モミ等の総称)集成材です。固い冬目(年輪)の部分と、黒く見える接着剤の部分は残っていますが、柔らかい夏目(年輪の間)の部分の食害が激しいことがわかります。

また、日本建築学会が発行している「建築材料用教材」には、以下のように樹種による防蟻性の違いを示しています。

防蟻性
主な樹種名(芯材)
 ヒバ・コウヤマキ・イヌマキ・イスノキ・タブノキ・カヤ・ベニヒ・タイワンスギ
ローズウッド・シタン・チーク
 ヒノキ・スギ・ツガ・ベイヒ・クリ・クスノキ・カツラ・ケヤキ・トチノキ・アカガシ
レッドメランチ・ブラックウォールナット・シルバーピーチ
 熱帯産材を除く全ての辺材・モミ・エゾマツ・トドマツ・カラマツ・アカマツ
クロマツ・ラジアータマツ・ベイツガ・ベイスギ・ベイマツ・セン・ブナ

 

 

 

 

 

 

このように、樹種によってシロアリに対する耐久性が大きく異なるため、使用の際には注意が必要です。
このようなシロアリに弱い樹種であっても適切な防蟻処理を行うことによってそのリスクを減らすことはできますが、それだけに頼るのではなく、自然素材であるその樹種自体のシロアリに対する耐久性をまず確認し、なるべく強い樹種を選ぶことが大事です。

また気を付けなければいけないのは、この表はあくまでも「芯材」の防蟻性であり、「熱帯雨林材を除く全ての辺材」は防蟻性「小」となっています。なので、いくらヒバやマキ、ヒノキといった防蟻性に優れた樹種を使ったとしても、芯材、つまり赤味の部分が多い材料でないとほとんど意味が無いのです。同じヒノキであっても芯材(赤味)部分の大きさや樹齢、年輪の詰まり具合などは千差万別です。そのような点まで注意されると、一層安心かつ安全な木材選びができるのではないでしょうか。

また、シロアリと同様に防がなければいけないものが「腐朽」です。
日本農林規格(JAS)では、樹種による耐朽性を下の図のように定めています。

日本農林規格(JAS)による樹種の耐朽性区分(2×4材は割愛)
耐久性区分            樹種
D1 耐朽性 大  針葉樹   ヒノキヒバスギ、カラマツ、ベイヒベイスギベイヒバ
ベイマツ、カラマツ、サイプレスパイン
広葉樹   ケヤキクリ、クヌギ、ミズナラ、カプール、セランガンバツ、
アピトン、ケンパス、ボンゴシ、イペ、ジャラ
D2 耐朽性 小        上記以外の樹種

※ 赤字はD1特定樹種。D1の中でもさらに耐朽性が強い。

このように、シロアリに対する防蟻性と同じように、樹種によって腐朽に対する耐性も大きく異なります。土台や柱・梁といった主要な構造材については、この表の「D1」に含まれる樹種を使われることをお勧め致します。

また、この表もシロアリの場合と同じく、「芯材」の耐久性として考えることが大事です。この写真は、ヒノキの丸太片を山林に5年以上放置したものですが、外側の辺材(白太)部分は腐ってしまっているのに対して、内側の芯材(赤味)部分はまだ硬いまま残っています。つまり、どのような樹種であっても、辺材(白太)は腐る可能性があるのです。

しかし、木材が腐るためには、水、栄養、酸素、温度の4つの条件が揃うことが必要です。逆に言えば、この4つのうちのどれか1つを断つことができれば木材は腐りません。そのうち、人間が管理できるのはまず「水」です。これは木材を適切に乾燥させることと、住宅を施工する際に、建物内部の木材に決して外部から水が入らないようにすることによって防ぐことができますが、万が一、何らかのアクシデントで木材が水を含んだとしても、耐久性の強い樹種の芯持ち材であれば、その被害を最小限にすることができます。そしてさらに二重の対策として適切な防腐処理を行えば、「水」に加えて「栄養」も断つことができ、さらに安全性が高まることになるのです。

日本の気候、風土に育まれた国産材は、高温多湿でシロアリが生息する日本の環境に合った性質をひとりでに備えているのではないでしょうか。その国産材の中でも赤味の部分を多く持つ高樹齢の紀州材と、一貫生産体制の中で培われたプロとしての製材・乾燥・検品・プレカット加工のノウハウを組み合わせた山長ブランド製品を、私たちは毎日誠実に、一生懸命作り続けることで、お客様の住まいづくりを精一杯応援したいと考えています。

お勧めの木材防蟻処理

従来の木造住宅における防蟻処理には、いわゆる農薬系の化学薬品を用いていましたが、人体への影響が不明確であることや、時間の経過で効果が劣化していく点などが心配されていました。しかし、2011年9月にホウ酸塩を主原料とする木材保存剤が(社)日本木材保存協会の認定を受けたことにより、長期優良住宅認定制度や住宅性能表示制度における劣化等級3に対応する防蟻処理材として利用できるようになりました。

ホウ酸系防蟻剤と農薬系防蟻剤を比較すると、次のような点に優れています。

1. 揮発・分解しないので、長期間にわたって効果を保ちます。
農薬系防蟻剤は揮発するため、5年程度で再処理が必要になりますが、ホウ酸系防蟻剤は揮発しないため、水に濡れない限り効果が持続します。

2. 揮発・分解しないので、部屋の空気を汚しません。
農薬系防蟻剤の揮発成分が、シックハウス症候群の一因となる可能性があり、特に高気密住宅や循環換気の住宅ではその揮発成分に晒される可能性が高くなります。

3. 人間には無害です。
農薬系防蟻剤は神経毒性でシロアリを駆除するため、人間にも多少の影響を及ぼす可能性があります。しかしホウ酸系防蟻剤は食毒性であり、腎臓を持たないシロアリには猛毒となって死に至りますが、人間は余分なホウ酸を腎臓によって体外へ排出するため、食塩並みの危険性しかありません。

4. 駆除には不向きだが、予防に適している ⇒ 新築住宅に最適
農薬系は予防には不向きですが、駆除には適しています。

以上の点から、山長商店は木材の防蟻・防腐処理にホウ酸系防蟻剤をお勧めしています。ご興味のある工務店様、住まい手様は、弊社営業社員までお問い合せ頂くか、お問い合せフォームよりご連絡ください。

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