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第一回 2009年12月21日 ゲスト:協同組合匠の会 理事長 尾身嘉一氏 「発信するということをやっていくと、それはすごく効果があると思いますよ」

榎本: このたび和歌山県のほうから、匠の会さんが紀州材のベストユーザー賞大賞を受賞されました。
匠の会さんが、この紀州材のPRについて実に大きな功績を残されてきていることを、ずいぶん前から和歌山県もみんなよくわかっており、私どもその意味で一番の恩恵を受けたものです。
特に朝日新聞の新聞広告を通じて、紀州材を利用するPRいただいたことに対して、もう十数年たち、実に遅まきではありますが、今回、やっと県のほうで新しくこのような賞を一つつくり、その第1回目に、匠の会さんが授賞されました。おめでとうございます。
尾身理事長: ありがとうございます。考えてみると、何か一つのご縁があるかと思ったのが、最初に千葉工務店さんとお付き合いして、紀州材のよさを認めた前千葉社長から「(紀州材で)1回やってみたらどうだろう」という相談を受けました。あのとき、たまたま私が理事長をやっており、千葉さんが副理事長でした。
千葉さんから「1度、和歌山に行ってみてほしい。ものを見なければ、わからないでしょう。」「見ないでいいとか悪いとか言ったら、尾身さん駄目だよ」「行ってから嫌だと言うなら、それはいいよ」とかいろいろ言われまして、だいぶ彼が私を説得してくれました。はっきり言って私は半分遊びのつもりで行きました(笑)
そんなことで、即、見に行ってみると「ああ、なかなかすごいな」ということで、それで理事会で発表しました。それから理事の方に説得をして、皆さん「良いじゃないか」ということになりました。それから今までに何代も理事長が変わり時間も経過しましたが、ちょうど今、この賞を頂いた時期に、山長さんとつながった最初の理事長だった事はなんかご縁みたいなものがありますね。
榎本: そうですね。ちょうどそういえば、最初のとっかかりをつくっていただいたのは尾身理事長でした。
尾身理事長: ええ、そうなんです。千葉さんと行ったとき、榎本さんのお父様とその弟様にもお会いして、山を案内していただき、工場から何から何まで全部見させてもらいました。それで木の年輪のつまり具合とか、全部説明を受けました。
ああ、確かに近所で売っているのと、私達が普段使っているのと、ずいぶん違うなと感銘を受けました。
榎本: そうですか。実際にうちの工場を見ていただいて、どのへんのところに感じられたのか、そのあたりのお話を伺えますか。
尾身理事長: 私の経験上からですが、山を持っている方が貯木して、製材、加工までされているところとはお付き合いしたことがなかったんですね。
尾身理事長: そうです。山持ちという人には、どこかの森林組合とか林野庁とかの案内で会ったことはありました。本当に川上ですよね。
ところが、その川上から川中ぐらいまでの間をやられている会社というのは全然知りませんでした。直接の購入元は木場の問屋さんや近所の材木屋さんでした。
その間が飛んでいて一貫性というのが全然わからないんです。
ご存じのように普通の場合はここに生えている木が最終的にはどこでどう使われているのか、全然わからないわけじゃないですか。
まあ、すごくいいものなら、例えば木曽檜、吉野材なんて書いてあるスギ、ヒノキはありましたね。でもそれは本当にいいものです。
昔は和室が多かったですから、柱や梁を見せることが多くて「やっぱり吉野の檜は高いけど、どうですか」なんて言うと、お客さんによっては、「いいのを使おうか」ということになったりする。そこで初めて産地の名前が出てきてそれが力となった時代ですが、その後、真壁造リが急になくなってきたんです。
普通の柱、梁を造る木材は銘柄を打っていないのが多く、木材ならなんでもいい感じが当時していました。その上に集成材とか外材が多く出回り、なんでわざわざ国産材?国産材なんて狂うじゃないかと。特に生の木は。
榎本: そうでしたね。その当時は、乾燥がまだ十分じゃなかったですからね。
尾身理事長: そうです。だから「集成材のほうがずっといいんだよ」と。どうかなと思いながらも、私たちも集成材を使った時代が結構続きました。
しかしそこで国産材を使おう、ということになって、一気に千葉さんなどの力をお借りしたんですが、それまでは匠の会もばらばらですよね。百年住宅とうたっていながら、私が今お話ししたようなことで、皆さんやってきたと思います。
お金があれば、ちょっと名のとおった産地の材かなと。それ以外ならどこでもいいやというようなことでやっていましたが、急にそのへんからがらっと変わって、会として紀州材を使う方向でやりましょうとなったんです。
榎本: そうしてこういうふうな提携を頂くことになるんですけれど、ちょっと聞いたところでは、私どもの工場に来られたときに、50年前後のスギ、ヒノキと、それから60年以上の、70年、80年という非常に目の込んだ原木から挽いた製品を仕分けしている作業をご覧になって、「そこまで品質にこだわっているのか」ということを感じて、「会員の皆さんに紹介したい」と言っていただけたと聞きました。
尾身理事長: そうですね。そういうこともお話していました。そのころはまだ山長さんにはプレカットはなかったですよね。
榎本: プレカットを始める約1年ぐらい前だったでしょうかね。
それからぼちぼち、モックを通じて千葉さんあたりとの取引がはじまって、その翌年の秋ぐらいに、匠の会の総会を和歌山でやって頂いて。
尾身理事長: ああ、そうかそうか、それでみんなを連れていったのかな。
榎本: それでこの際、山から工場から全部見せようという話があって、それで総会を和歌山でやって頂いたんです。
「山長の木を使おうじゃないか」という格好のなかで来られたのですが、来られたのは10月だったと思いますが、その直前の8月ぐらいに、うちも今まで製材だけだったけれども、やはり製材だけではこの先が見えないから、遅まきながらプレカットに進出しないと駄目だという結論になり、それで急きょプレカット設備を契約したところでした。
尾身理事長: 機械を導入していったわけだ。
榎本: 完成は翌年の2月ないし3月だということでした。来ていただいてから提携の話が具体的になり、翌年の4月に調印したときには、理事長さんが小野田さんに変わられましたね。そのひと月前の3月ぐらいからプレカット工場が動きだしました。
ですから実際のプレカットの仕事としてはやっぱり匠の会の物件が一番最初だったように思います。ただやっぱり難しい物件が多くて、初めてプレカットに取りかかるには、非常に困難なところもありました。
尾身理事長: そうですよね。いや、難しかったと思いますよ。
まして千葉さんあたりが大なたを振っておりましたからね。彼は「丸太ができないか」とか、ずいぶん文句を言っていたとか、「これができなければプレカットじゃない。これでは使えないよ」とか、だいぶそんなことを言って困らせたと思いますよ。
榎本: それで千葉さんのご紹介で、新潟の村上市に丸太梁の加工機があるということで、それを見に行こうと言われ、お伺いしたこともあります。
それから2、3年ののちに、丸太梁の加工や昇り梁、斜め材加工とか、そういう特殊加工をやる5軸加工機をプレカット機械メーカーの平安コーポレーションと一緒になって開発しました。
尾身理事長: うわ、大したもんだ。
榎本: 実質第一号でやりました。匠の会さんからのご要望というのが一つのバックにあって、そういう特殊な物件を処理していくためには、やっぱりあくまで省力できるところは省力化、合理化して、それで低コストでできるようなかたちにする。しかも、そういう加工のなかで、国産材、紀州材を使っていただこうということでした。
特にその当時、他方では建売的な効率的な物件もたくさんあったのですが、そういうものは外材が主体でした。
凝ったものというのは難しいけれど、やっぱり一番大切なのはそのような物件で国産材を使っていただけるユーザーさんだ、ということもありまして、とにかく頑張ってみました。
例えば機械でやっても真壁の柱の貫穴といった柱の横加工がものすごく入りますから、普通では柱材1本1分ぐらいで機械から出てくるところが、10分かかります。だから効率から言うと、すごく落ちる。
尾身理事長: 手間暇かかるわけですね。
榎本: そうです。そういうこともあり、最初は大変でしたが、こういうものを合理的にうまくこなしていけたら、それはかえってわれわれの競争力につながるつもりで取り組んできました。
尾身理事長: いや、本当にそういう意味で頑張っていただきました。
さっき言った世の中の流れのなかで、今、ああいう太鼓梁だとかを見たり、自然のなかからいろいろ新しいものを見つけてくる若い人が増えてきたじゃないですか。
榎本: そうですね。自然志向と言いますか。
尾身理事長: そういう方がいらっしゃいますね。
ハウスメーカーさんはまずそのへんをやりたがりませんから、そういうのが欲しい人はそういうことをやっている工務店のホームページを見にいきます。そうすると、その流れをよくわかってくれる山長さんあたりに発注すれば即うまくいく。その点、早く先手を打っていただいたため、われわれも本当に助かっています。
榎本: いや、本当に私たちがもう一つありがたかったのは、和歌山県というのは人口もトータルで100万人ぐらいの県です。しかも人口の中心は北のほうに固まっていまして、私ども和歌山県の真ん中あたりには、本当に人口十万人余りしかありませんから、こういうなかでの地場需要だけでモノを売るというのは難しい。
尾身理事長: 限界がありますよね。
榎本: そうなんです。もう実にわずかしかありません。
そういう意味で、昔から生産された紀州材は、東京の巨大な人口集積地、東京の市場で販売されてきました。だいたい半径50㎞なり、せいぜい100㎞ぐらいの範囲のなかで加工したものが売られる、それが当時の常識でした。
それが我々のプレカットというのは売り先が関東で。
尾身理事長: そうですよ、500㎞、600㎞あるでしょうね。
榎本: それで直にそういう工務店と結ばせて頂いて、かつ具体的に採算ベースでのったかたちでやられているケースは、当時としてはほとんどなかったでしょうね。
そういう意味で、私ども匠の会さんとつながせていただいて、一応の安定需要といいますか、そういうものがあって、それで本当にここまでやってこられたという感じがします。
尾身理事長: 本当によかったと思います。今でこそ、朝日新聞に匠の会の広告が月に4本ぐらい出ればいいほうになってしまったけれど、前はもう年がら年中出た時代があったじゃないですか。
榎本: そうですね。80段とか100段という時代がありましたね。
尾身理事長: 時期的にもああいうときだったから非常によかった。
あれが今の時代なら、同じ提携をしても効果はぐっと低くなってしまいますが、当時全盛だったころですから、あらゆる意味で非常によかったと思います。
だから私達もやっぱり山長さんのおかげ、というのはあります。
尾身理事長: 今は、長期というのが当たり前になってきましたね。
榎本: 長期優良住宅。
尾身理事長: これはこれからも私達工務店にとっては、大変良い事ですからやっていきたいと思います。
榎本: それもベースになってきますよね。
尾身理事長: はい、もう当たり前になってくると思います。
ですから、それこそ他の工務店と同じになってしまうからということで、私達が取り組んでいる環境共生住宅(一般社団法人環境共生住宅推進協議会)を、以前に取得していたんです。で、今は環境共生住宅と長期優良住宅がくっつきまして、今度はこの二つが一つのラインとして出るのではないかと思っています。
あとは自立循環型住宅とCASBEE(建築物総合環境性能評価システム)ですね。
今まで匠の会がやっていたのは、産地が決まっていることや、バリアフリーなど二つぐらいで環境共生がとれたのですが、今度はそれプラスCASBEEを入れてきたわけです。
ですからこれまでの形はそれは最低限必要ですが、これからは要するに省エネとか、資源の再利用、環境負荷の軽減等を考慮した環境共生住宅ということでやっています。それをもうちょっと発展させながら、会として長期優良住宅を付加した商品をつくろうということになりました。今年の5月には出ます。
榎本: そうですか。
尾身理事長: そういうなかでも、常にやっぱり山長さんがベースになっていますから。これは。
榎本: ありがとうございます。
尾身理事長: 「山長さんの木だけでは駄目だ」という人も出てきたりしたので、私達もそれに甘えていてはしようがない。
もうずいぶん甘えさせてもらって、今まで日本一の木だと言いながら、それで受注したこともあるわけですから、それプラスアルファを付けていかないと難しいのではないかということです。会では、実際にどのようにしていくか、そういうこともみんな話はしているけれど、なかなかやっぱり難しい。
榎本: 確かに、みんなそれぞれいろいろな地域があって、その地域が持っている市場の性格の違いもありますから、一つの商品としてまとめあげるというのは非常に大変でしょうね。
尾身理事長: ありますね。でもまとめていかないと。
榎本: でも、会員社の皆さんは本当にご熱心ですよね。
尾身理事長: まあ、一生懸命皆さんやっていますよ。
榎本: 匠の会は今年で30年ということで。
尾身理事長: そうです。ええ。
榎本: われわれが言うのもおこがましいかもしれませんが、工務店さまが木材にものすごく長けておられて、もちろん総じてレベルが非常に高いということも、われわれがずっとうまいことやらせていただいた特に大きな要素だと思います。
やはり、こういった無垢材を扱うとなったら、工務店さまの方向性によって相当差が出ると思います。
尾身理事長: そうでしょうね。
榎本: それは30年の間の蓄積というものが、おありになるでしょうね。
尾身理事長: それと、皆さんいつの時代でもそうですが、集まって来ている人は勉強家ですよ。
榎本: そうですね。
尾身理事長: みんな前向きに勉強しますから、私などは逆についていっているけれど、特に今の若手の人、千葉さんや高棟(株式会社高棟建設工業)さんなどが、本当に引っ張っていってくれています。だから今の私の立場は、いかに彼らにうまく頑張って頂いて、他の人たちをいい方向に導いてもらえるか、ということが私の使命だと思います。ああいう若く、頭の回転する人たちが集まって動きだしましたよ。
榎本: そうですか。頼もしいですね。
尾身理事長: ですから、これからまだまだいろいろ展開すると思いますよ。
今年で30年ということですが、30年前の理念にしがみつかず、もう1回方向性や目標、理念を組み立てようじゃないかと、そういう思いを提案しています。今、いろいろな意見が出てきていまして、その中でとにかく基本的なものをまず1回固めること、それから行動指針を少し変えもう少し厳しさを残していこうじゃないかと。
榎本: 次の30年に向かって、という感じですね。
尾身理事長: 本当にそうです。最近の展開では特にリフォームを前面に出しています。
榎本: 匠の会のリフォームパックが出ましたね。
尾身理事長: あれは、結構ダイレクトに問い合わせが来ます。層を見ると、五十代の方が多く、親の家をなんとかして、将来自分が退職したら親と一緒に暮そうじゃないかとか、そういう人たちからの問い合わせがきて、ぼちぼちと仕事に結びついています。
榎本: なるほど。確かにこういうちょっと不安な世の中になってくると、そこまで完全な建て替えの手前のところ、しかし生活は新しくしたいという要望は出てきますよね。
尾身理事長: 出てきていますね。もちろん、新築をやろうというその世代もなくはないのですが、層から言うと、やっぱり三十代、四十代全般の若い方、35年ぐらいのローンを組める方が多いじゃないですか。そういう層の人たちが新築で来るでしょう。
リフォームを期待していいのはそれ以上の年代の人。親のうちに住んでいるようなときは別にして、とにかくまず親が動きます。やっぱり、層としてはある程度中年から上の層、これがリフォーム層ですね。
榎本: なるほど。
尾身理事長: まあとにかく、本当に工務店が勉強しなくてはいけない時代になりましたね。じっとしていられないですわ。
榎本: 最近、われわれのホームページを通じて、ありがたいことに工務店さまから「興味がある」というお問い合わせが年間1件から2件あります。それに加えて最近、一般のお客様から直接のお問い合わせが増えました。
例えば「某工務店さんで商談を請けていて、そこは山長さんの木を使っています。ほかの工務店さんは、山長さんの木じゃないけど、木についてこういう説明を受けました。その説明について本当のところ山長さんはどう思われますか」というメールが来たりするんですね。
そういうところを見ても、住まい手さん自身が自分の手で調べて、自分で納得したいと思うところが非常に強いことを感じます。特に警戒するんでしょうね。売り買いの関係の中で直接言われることを鵜呑みにせずに、このように自分でネットで調べて我々にそういう質問がくるというのは以前にはなかったことです。
尾身理事長: おっしゃるとおり、以前に比べて本当にお客さんが勉強しています。
いろいろな質問に対して、やっぱり的確にわかりやすく答えてさしあげなければいけません。そこで信用というものはついてきますから、そういう勉強をしておかないと、なかなか駄目ですね。
以前はよく営業マン研修があって、メーカーさんの話を聞いて商品説明を受けて知識をつけるんだけど、今はお客さん勉強しようと思ってネットを見れば、だいたいのことは事前にわかっておられるじゃないですか。そうすると営業マンはしゃべることがありません。あとはもうモチベーションを上げてて頂き、受注するしかなくなってしまうわけです。
そのときに何が必要かというと設計力です。お客さんの思いをしっかり汲んだ設計と、そのプレゼンテーションをいかにうまく御提案出来るか、これでばしっと決まるのです。
そういうものを磨かないといけない。
榎本: 話が飛びますが、この間テレビで見ていたなかで、若者向けの新しくできた衣料品店の話ですが、その棚にはTシャツみたいなものからはじまって、いろいろ置いてあるわけです。その向こうの壁に、B5くらいの紙がいっぱい張ってあるんです。
何が書いてあるかというと、その衣服はどこでつくられて、どういうものが入っていて、糸は何番手のものを使っていてと、ものすごく細かい、いわゆるうんちくが一つ一つの商品について書かれているんです。
消費者はそれを見てその商品を選択する。デザインについても、このデザイナーはこういう人で、こういうほかの作品があるとか、とにかくうんちくがあると。
その店は、そのようなかたちで「モノ」と「コト」をプラスして、一緒にしてものを売るという考え方をしている。それで売り上げが2倍になっているというようなことを言っていましたけれど、その考え方、すなわち「モノ」に「コト」をプラスする、いわゆるモノにこだわった上でその背景に物語がある、ような商品作りというのは、ある意味でこれまで匠の会でもそれなりにやってこられた、過去にやられたことでもあったと思います。
でも、今ここへきて、そのようなことがさらに一般的になってきているなかで、もう一度そのへんを考えてみる必要があるのかもしれませんね。
尾身理事長: ですから、お客さんにわかりやすいようなこだわり方をしないといけない。
榎本: そしてそれを発信するんですね。
尾身理事長: その通りです。発信するということをやっていくと、それはすごく効果があると思いますよ。そのへんを、やっぱり今のお客さんは要求しています。
榎本: また、そういうところをハウスメーカーにはないものとして、工務店に求めている。
工務店の特色というのは、そういうところで出てくるのかもわかりませんね。
匠の会の広告が朝日新聞に掲載されていますが、新聞というのは直接的に商品選択に強く関わるかどうかはわからないけれど、なんだかんだいってもこだわりみたいなものをPRする手段とすれば、十分に機能するんですよね。
尾身理事長: 十分機能します。
榎本: 新聞という媒体は、必ず一番目に触れやすいところにありますものね。ネットなら自ら探していかなければいけないけど。
尾身理事長: 街を歩いてみて、飲食店のところを見てみると、残っているのはある程度高級で食材にこだわっているお店と、あとはやっぱり安売りでしょう。中間でやっていた定食やレストランは、みんなちょっと厳しくなっていますよね。
ですから、工務店は何を選び求めていくかといったら、いわゆる安売りのライン、なんとか屋の牛丼が300円を切ったなんてところを僕らは狙えません。
やっぱりやるとしたらある程度高いところ、でも最高級のなんとかホテルの食事じゃなくて、それよりもうちょっとこなれたところで提供するようなものをみんなで組んで狙っていけば、勉強している工務店ならそのラインはこれからも残ると思います。僕がそれを言うと、他の人が「お店の場所があんたの方いいんだよ、東京だとか、杉並とか、いいところにいるから」と言う。
いや、郊外でも千葉さんを見てみろと言います。千葉さんところなどは郊外でも会社はしっかりがんばっていますよ。だからやっぱりやり方じゃないの。レストランを考えてみなよと言うのですけど、混んでいる店は絶対何かにこだわっているよ。産地にこだわったり、無農薬とか何かにこだわったり。
榎本: 今はちょっと離れたところでも、そこまでわざわざ食べに行くということを普通にしますね。
尾身理事長: そういうラインを狙えばいいんですね。
匠の会もそうだし、山長さんもそうだと思うけど、最近は私自身、社員にそのようにしゃべっています。昔は鉄骨造もやり、コンクリート造もやり、何でもやらなければ工務店でないと言っていました。でも近年になってやはり木造に特化していこうと思って、その方向性と違う連中には悪いけれどやめてもらったりしました。
ですから、うちの会社は今は「木造大好き」という人間ばっかりです。そういう人で固めたほうが、彼らも喜んでこだわってやりますからね。
榎本: それはいいお話ですね。
尾身理事長: みんなにもそれを言うんだけどね(笑)「おまえのところは、条件がいいんだよ」と言われて、それで片づける人もいるけれど、中にはちゃんと聞いてくれている人もいると思います。
榎本: これから団塊の世代が本当の意味で退職期になってきますね。60歳じゃなく、65歳という退職期になってくるのは。その層に対してどうアプローチできるのかというあたりは重要ですね。
尾身理事長: 新築でアプローチできたら最高にいいですね。リフォームでちょっとした本当にいいものをつくってあげればいいなと思ったけど、なんとか新築で、本当にお客様の生活を考えて戦略を立てられないかなと思ってます。
これからは匠の会の方向性もうちの会社の方向性も一体ですからね。
うちがやってみて良いことは、匠の会でもやればいいんだから。ですから、みんなに知恵をお借りしながら、どう模索していくかということです。私はあと1年間ぐらいは理事長をやりますが、今言った路線をつけることができれば、そのあとは誰かに代わってもらって次の世代に持っていきたいと思います。
榎本: 尾身さん、またちょうどいいときにやっていただいて。
尾身理事長: まあ、今まで本当にいい関係をつくっていただいたので、これからも一つ、上手にお付き合いしてください。
榎本: いやいやこちらこそ。ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

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